2024年の映画

木の葉の家 昨年は事情があって50数本しか掲載していない。ほかに50年代、60年代の洋画・邦画を30本ぐらい見ているので、総計では80数本となり、いつもより20、30本少ない感じである。今年もまだどうなるか分からないが、なるべく新作を見ていきたい、とは思…

2023年の映画

湯島天神近く 去年の収穫は例年になく貧しい。年も押し詰まって見た「ザリガニの鳴くところ」が一番心に残る。あとジョン・レノンの初期活動を追ったドキュメントである。彼はリバプールとハンブルグですべては終わっていた、という認識を示している。その空…

2022年後半の映画

77 Eight Days A Week (D) 何度か映像を見ていて泣きそうになった。ロン・ハワードが過去の映像を綴り合わせたものだが、間然としたところのない編集である。見終わって思うのは、60年代が大きな変動の時代だったということだ。音楽のミューズに愛されたリバ…

2022年の映画

根津美術館で 昨年見た映画で一番は「MINAMATA」だった。いま原一男の水俣も掛かっている。6時間の大作で、こちらの腰が引ける。そこをMINAMATAは回避させてくれた、という思いがある。音楽の変化でスピーディに映画の方向性を見せたのもよかった。ユージン…

2021年後半の映画

まちの記憶 69 Peantus Butter Falcon(S) ダウン症の22歳の青年ザック(本人がダウン症。本名、ずっと役者志望だったらしい)が療養所(一緒の部屋なのがブルース・ダーン。なぜか老人たちばかりの中にザックがいる)から抜け出し、憧れのプロレスラーになろう…

2021年の映画

旅の宿で 昨年は「パラサイト」も「新聞記者」も、これは駄作だと思ったものが、どちらも日米のアカデミー賞に輝いた。賞に輝いて、その後、まったく顧みられない作品があるが、2つはきっとその種の映画となることだろう(多分に負け惜しみっぽいが)。前者は富者…

2020年の映画

奈良旧遊郭内銭湯 T=映画館、S=ネット、D=DVD 映画はわが一部だ――自身の人生のありえたいくつかの可能性を映し出してくれる。見知らぬ過去や未来であろうと、異世界であろうと、遠い異国であろうと。失われた自分の一つひとつに、われわれはスクリ…

2019年の映画

sea of summer 2019年の映画 2019-01-05 T=映画館、S=ネット、D=DVD 1 ぼんち(D) 見るのは二度目だと思う。山崎豊子原作である。脚本を市川崑と和田夏十(なっと)が書いている。和田は市川崑の奥さんで、つねに二人三脚で映画を創った。 冒頭のシーン。女…

2018年の映画

white book T=劇場、S=ネット、D=DVD 1 最後のジェダイ(T) 見る気もなく見てしまった映画である。第1作(第1回上映作といえばいいのか。この順番の入れ換えのために、ぼくはこの作品を追うことを止めた)にも、超未来のなかに宇宙酒場などのクラシカルな…

2017年の映画

小田原城の石組昨年は「アスファルト」のような小品にいい味のものがあった。一昨年の「マジカルガール」でも感じたことだが、阿呆らしい設定なのに、そのふてぶしさに納得がいく、といった作りなのだ。それは背後に根太いユーモアを抱えているからできるこ…

2016年の下半期

奈良の寺の壁87 柴又より愛をこめて(S) 栗原小巻が式根島の学校の先生で、24の瞳に憧れてやってきたが、年々歳々、若者は巣立っていき、自分を独身のまま取りのこされた感じが濃くなる。そんなときに、タコ社長の娘(美保純)が夫をほっぽらかして出奔する。…

2016年の映画(上期)

さてこれはなに? 1 グランドイリュージョン(S) この種の映画を再見して、前より好印象ということはごく少ないのだが、初見でがちゃがちゃと詰め込んだものが、二度目だと余裕をもって見ることができ、なかなか楽しむことができた。それにしても、日本にこ…

2015年後半の映画

58 激戦(DL) 劇場で見るのを忘れていた香港映画で、監督林超賢(ダンテ・ラム)、主演張家輝(ニック・チョン)、膨于曇(エディ・ポン)、女優が梅婷(メイ・ティン)、子役が李馨巧(クリスタル・リー)。まず役者がいい。とくにその目が。主演のニック・チョンは…

2015年の映画

1 ケープタウン(T) フォレスト・ウイテカーが主演、脇がオーランド・ブルームの警察物ということになろうが、原題はZuluである。ウイテカーがその民族で、小さいころに他民族(フツ族?)に虐殺されそうになり、逃走途中に犬に性器を噛まれ不能に。囲い者の女…

社長シリーズ

飛び飛びに見ている社長シリーズをここにまとめておくこととする。 その前に作品の一覧を掲げる。見て分かるように、1作を除いて正続で作られている。続はほぼひと月後の封切りが守られている。高度成長期に向かって、一散に作られた映画であることが分かる…

善意の人――森田芳光作品

ぼくは知らない間に森田の映画を何本か見ている。振り返ってみたら、けっこう親しい友人だったと気がつくようなものだ。何を見てきたかというと、 の・ようなもの(1981年) 家族ゲーム(1983年) それから(1985年) キッチン(1989年) おいしい結婚(1991…

2014年後半の映画

68 殺人の川(D) 雰囲気は「殺人の追憶」だが、もう一つ骨が細い。結局、犯人、おまえやんか、というのでは、「追憶」には到底、及ばない。しかし、韓国に連続殺人ものが多いような気がする。日本では「復讐するは我にあり」ぐらいしか思いつかない。いま佐木…

2014年の映画

結局、去年は最後にまとめて映画を見たこともあって、例年と同じような本数になった。危ないところでヘルペスになりかけたが、正月に逃げ込んで難を逃れた感じである。今年はますます劇場で映画を見ることが多くなるような気がする。 1 Find Out(D) アマン…

2013年の映画2

100 42(T) 監督・脚本ブライアン・ヘルゲランド、『LAコンフィデンシャル』や『ミスティックリバー』などの脚本を書き、監督作には『ペイバック』などがある。初めて黒人でメジャー・プレイヤーになったジャッキー・ロビンソンを扱ったもので、ぼくは泣き…

2013年の映画

1 ハル(DL) 森田芳光の作品で始められる幸福を思う。ぼくはこの作品をタイトルからロボットを扱ったものと勘違いしていた。見ると、ハルはチャットのハンドルネームで、文字のやりとりで親交を深めていく男女を扱っている。黒に白い文字の画面が頻繁に…

12/10月後半からの映画

110 ルート・アイリッシュ(DL) ケン・ローチ監督である。これも劇場で見たかった映画だが、なぜか見逃してしまった。イラクのバグダッドにはルート・アイリッシュと呼ばれる危険な地域があって、そこで民間兵である親友が殺される。そもそも高給が出るか…

12年9月からの映画

93 昭和残侠伝 人斬り唐獅子(DL) 山下耕作監督、池部良が兄弟分で、敵方にいる。良心派やくざは大木実で、その血気盛んな息子が長谷川明男、継母が小山明子で、健さんがムショ勤めの間に大木に身請けされた形である。例によって悪やくざは国の手先と結託し…

12年4月からの映画

36 ヘルプ(T) テイト・テイラー監督、作品はこれが2作目? 主演エマ・ストーン、不思議な魅力の女優さんである。その母親役が、アリソン・ジャネイ、ぼくは「ベティ・サイズ・モア」で見ている。脇というか準主役がビオラ・デイビスで、「ものすごくうるさく、…

2012年の映画

また年が明けて、どんな年にしようかと思う。談志が亡くなって、フアンでもないのに妙にさみしくなって、CDを3枚格安で買った(「源平合戦」が唸る。「芝浜」はいろいろあるらしいが、それほどいい話か?)。いずれDVDも安いのがあれば手に入れよう。浅草、池…

2011年秋以降

118 HOAX(D) ハワード・ヒューズを売った男、というのがサブタイで、なんとリチャード・ギア主演である。売れない作家が起死回生で謎の富豪とコンタクトがあり、その自伝の独占権を持っているとマグロウヒル社(実在)をだます話である。ほんとにあった話ら…

7月半ばからの映画

91 マイティ・ハート(DL) 主演アンジョリーナ・ジョリー、パキスタンで夫がテロ集団のヘッドにインタビューをするために会うが、人質に。それを救い出す過程を描く映画だが、パキスタンの警察が誠心誠意対応するのが印象的である。朝には祈祷で人が集まり…

11年5月以降の映画

53 綴り方教室(T) 山本嘉次郎監督、主演高峰秀子。38年の作で、高峰が24年生まれだから14歳の作品。ほんとに達者である。しゃべり方の平板な感じはそのままである。実にゆったり撮られていて、次の「馬」ともども悠揚迫らずといった進行である。ドロマツルギ…

11年の映画

1 バーレスク(T) クリスティナ・アギレラとシェールの共演、監督はスティーブ・アンティンという人。存分に楽しませていただきました。アギレラの声の野太いこと。迫力が違います。ユーチューブで彼女の画像をいくつか見てみたが、ストリー付きで聴く歌の…

10年10月から

99 「儀式」(新文芸座) 71年の映画である。安保が終わっている。ほぼ室内で終始するのは「日本の夜と霧」と相似である。佐藤慶が演じる桜田は元政府高官で、一族には同腹から異腹までさまざまな子がいる。妻を演じるのが音羽信子である。子の一人である小松方…

10年8月から

73 「どたんば」(新文芸座) 九州の小さな炭鉱で経営者のけちりから中央塔の修繕を怠ったことから、川の濁流が流れ込み、破損。それで坑内が水で溢れ、5人の人間が閉じこめられる。地上では対策本部が作られ、ポンプを使って汲み出しをしたり、泥を運び出したり…