2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

        不思議な監督─ガス・ヴァン・サント

*冴えないパッケージ、すごい中身 ロシア映画に「父帰る」というのがある。DVDのパッケージには「シックス・センス」のオスメント君のような少年が写っている。ぼくはてっきりオスメント君の映画だと思っていて、友人に勧められても、オスメント君の映画ではね……

       宗教・不能・母─マーチン・スコセッシ小論

*mother & religion スコセッシは映画ばかりかTV番組を製作したり、実に多作な監督だ。役者としての顔もある。確か若きころスダンダップ・コメディアンだったはずである。 30本近く映画作品があるが、初めての長編が「誰がドアをノックする」で、1967年の作…

「受け」の人―森繁久弥

*「夫婦善哉」の絶妙な味わい 渥美清は森繁久弥を目指していたという。コメディアン出身でシリアスもできる役者の頂点といえば、誰しも森繁に指を屈するだろう。渥美は浅草の舞台でも、ちょっと出てはほかの芸人のお株を奪うような攻めの演技の人だったらしい…

なぜ夫は妻を殺したがるのか?―小コーエン論

*名作「ファーゴ」 コーエン兄弟の映画を立て続けに見たことがあった。「バートンフィンク」(91)「ファーゴ」(96)にやられたからである。「ブラッド・シンプル」(84)「赤ちゃん泥棒」(87)「リック・リボウスキー」(98)「オーブラザー」(00)「バーバー」(01)「レディ・キラ…

猥雑、そして静謐―成瀬巳喜男讃

*明るい静謐さ 成瀬作品は90本近くある。黒澤、溝口、小津のあとに海外で評価が高まった監督ということになる。小津調の作品から抜け出し「芸道もの」と言われる分野で個性を出し、戦後は低迷期が続き、51年に「めし」、53年に「浮雲」を撮って復活を遂げた――とい…